【 イーコール 】
深々と、音もなく降り積もる。
森に、遺物に。屋根に、街路に。
ひとしく、白い帳が覆っていく。
視界との交換で得られる感覚がある。
山に囲まれた湾を持つ舞鶴。
かつて要塞都市として築かれた街。
砲台の跡、煉瓦造りの建造物、
過去の生活が残り、自然に同化していく。
街に完成した姿はない。
生物の営み、偶然の積み重ねにより、
少しずつ形を変える。
私たちが見ているのは、今。
街も遺構も、木々の造形も、現在の姿。
ただ、その背後には、
かつてそこに存在した何かが堆積している。
雪はその差異を覆う。
時間の輪郭を一時的に均していく。
それぞれ異なる歳月を抱えたものが、
同じ白の中に並べられていく。
みな、積み重なっていく。
触れることのできる一片、
雪という時間が、ひとしくする。
冬の舞鶴を、こんこんと。
2025 - 2026