【 Light, Just There 】

 

光が強い。

バンコクの街を歩いていると、明るいとか暗いとか、そういう単純な区分ではないように思う。

光は広がるものではなく、どこか切り取られている感じだ。

 

光を制限している条件が集まっている。

建物は密集し、路地は細い。庇や電線、看板、樹木が何層にも重なり、光はその隙間を通ろうとして何度も遮られ分断される。

暑さのために、人は自然と日差しを避ける。傘やテント、簡易的な屋根が重ねられていく。

それらは、ただ環境への対処として置かれている。けれど、その結果として、光のあり方が変わる。

均質な広がりより、局所的に現れる。暗がりの中に、上から、横から、隙間から落ちてくる。スポットライトのように、特定の場所だけが浮かび上がる。

 

こういった光がどこに当たっているのかを見るのは容易いだろう。明るいところは注目しやすい。

だが、なぜそこにしか光が現れていないのかを考え始めると、少し様子が変わる。

それまで視界に入っていた構造が、ほとんど意識されていなかったことに気づくからだ。都市の形や、人々の工夫、生活の仕方が浮かび上がってくる。

 

光は何かを示しているのではなく、そこにある環境と、その中で繰り返されてきた対処の結果として、ただそう現れている。

 

暗、明、暗、明。

暗さと明るさが交互に現れる。

 

人はその中を歩く。

断続的な光のリズムの中で、途切れながら、つながりながら、移動している。

何かを語っているわけではない。

ただそこにある街のあり方が、光としてただそこにある。